んが頼みにしている、四番目の娘だがね、つい、この間、暑中休暇で、東京から帰って来た、手入らずの嬢さんは、医学士にけがされたぜ。
 己に毒薬を装《も》らせたし、ばれかかったお道さんの一件を、穏便にさせるために、大奥方の計らいで、院長に押附《おッつ》けたんだ。己と合棒の万太と云う、幼馴染の掏摸の夥間《なかま》が、ちゃんと材料《たね》を上げていら。
 やっぱり家の為だろう。河野家の名誉のために、旧悪を知ってる上、お道さんと不都合した、早瀬と云う者を毒殺しようと、娘を一人傷物にしたんじゃないか。
 そこを言うのだ。児《こども》よりも家を大切がる残酷な親だと云うのは、よ。
 なぜ手をついて懺悔《ざんげ》をしない。悪かった。これからは可愛い娘を決して名聞《みょうもん》のためには使いますまい。家柄を鼻にかけて他《ひと》の娘に無礼も申掛けますまい、と恐入ってしまわないよ。
 小児《こども》一人|犠牲《にえ》にして、毒薬なんぞ装らないでも、坊主になって謝《あやま》んねえな。」

       五十六

 面《おもて》も触《ふ》らず言《ことば》を継ぎ、
「それに、お前さん何と云った。――この間も病院で、こ
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