僧の時よ。朝露の林を分けて、塒《ねぐら》を奥山へ出たと思いねえ。蛙《けえろ》の面《つら》へ打《ぶっ》かけるように、仕かけの噴水が、白粉《おしろい》の禿げた霜げた姉さんの顔を半分に仕切って、洒亜《しゃあ》と出ていら。そこの釣堀に、四人|連《づれ》、皆洋服で、まだ酔の醒《さ》めねえ顔も見えて、帽子は被《かぶ》っても大童《おおわらわ》と云う体だ。芳原げえりが、朝ッぱら鯉を釣っているじゃねえか。
釣ってるのは鯉だけれど、どこのか田畝の鰌《どじょう》だろう。官員で、朝帰りで、洋服で、釣ってりゃ馬鹿だ、と天窓《あたま》から呑んでかかって、中でも鮒《ふな》らしい奴の黄金鎖《きんぐさり》へ手を懸ける、としまった! この腕を呻《うん》と握られたんだ。
掴《つかま》えて打《ぶ》ちでもする事か、片手で澄まし込んで釣るじゃねえか。釣った奴を籠へ入れて、(小僧これを持って供をしろ。)ッて、一睨《ひとにらみ》睨まれた時は、生れて、はじめて縮《すく》んだのさ。
こりゃ成程ちょろッかな(隼)の手でいかねえ。よく顔も見なかったのがこっちの越度《おちど》で、人品骨柄を見たって知れる――その頃は台湾の属官だったが、今
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