て、五分々々か、のう、はははは、」
 と髯の中に、唇が薄く動いて、せせら笑う。
 早瀬は軽く微笑《ほほえ》みながら、
「まあ、お掛けなさいまし。」
 と腰掛けた傍《かたわら》を指で弾《はじ》いた。
「や、ここで可《え》え。話は直《じ》き分る。」と英臣は杖《ステッキ》を脇挟んで、葉巻を銜《くわ》えた。
「早解りは結構です、そこで先日のお返事は?」
「どうかせい、と云うんじゃった、のう。もう一度云うて見い。」
「申しましょうかね。」
「うむ、」
 と吸いつけた唾《つば》を吐く。
「ここで極《きめ》て下さいましょうか。過日《このあいだ》、病院で掛合いました時のように、久能山で返事しようじゃ困りますよ。ここは久能山なんですから。またと云っちゃ竜爪山《りゅうそうざん》へでも行かなきゃならない。そうすりゃ、まるで天狗が寄合いをつけるようです。」
「余計な事を言わんで、簡単に申せ。」
 と今の諧謔《かいぎゃく》にやや怒気を含んで、
「私《わし》が対手《あいて》じゃ、立処《たちどころ》に解決してやる!」
「第一!」
 と言った……主税の声は朗《ほがらか》であった。
「貴下《あなた》の奥さんを離縁なさい
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