》の可傷《いたまし》さに、お蔦は薄化粧さえしているのである。
お蔦は恥じてか、見て欲《ほし》かったか、肩を捻《ひね》って、髷《まげ》を真向きに、毛筋も透通るような頸《うなじ》を向けて、なだらかに掛けた小掻巻《こがいまき》の膝の辺《あたり》に、一波打つと、力を入れたらしく寝返りした。
四十七
「似合った、似合った、ああ、島田が佳《よ》く出来た。早瀬なんかに分るものか。顔を見せな、さあ。」
とじりりと膝を寄せて、その時、颯《さっ》と薄桃色の瞼《まぶた》の霑《うる》んだ、冷たい顔が、夜の風に戦《そよ》ぐばかり、蓐《しとね》の隈《くま》に俤《おもかげ》立つのを、縁から明取《あかりと》りの月影に透かした酒井が、
「誰か来て蛍籠を外しな、厭《いや》な色だ。」
「へへい、」と頓興な、ぼやけた声を出して、め[#「め」に傍点]組が継《つぎ》の当った千草色の半股引《はんももひき》で、縁側を膝立って来た――婦《おんな》たちは皆我を忘れて六畳に――中には抱合って泣いているのもあるので、惣助一人三畳の火鉢の傍《わき》に、割膝で畏《かしこま》って、歯を喰切《くいしば》った獅噛面《しがみづら》
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