様子で、
「戯談《じょうだん》おっしゃいよ! 嘘にも、そんな事を云って、事が起ったら子供たちはどうするの?」
と皆まで言わせず、事も無げに答えた。
「無論、島山さんの心まかせで、一所に連れて出ろと、言われりゃ連れて出る。置いて行けとなら、置いて……」
「暢気《のんき》で怒る事も出来はしない。身に染みて下さいな、ね……」
「何が暢気だろう、このくらい暢気でない事はない。小使と私と二人口でさえ、今の月謝の収入じゃ苦しい処へ、貴女方親子を背負《しょ》い込むんだ。静岡は六升代でも痩腕にゃ堪《こた》えまさ。」
余《あまり》の事と、夫人は凝《じっ》と瞻《みまも》って、
「私がこんなに苦労をするのに、ほんとに貴下は不実だわ。」
「いざと云う時、貴女を棄てて逐電《ちくてん》でもすりゃ不実でしょう。胴を据えて、覚悟を極《き》めて、あくまで島山さんが疑って、重ねて四ツにするんなら、先へ真二《まっぷた》ツになろうと云うのに、何が不実です。私は実は何にも知らんが、夫人《おくさん》が御勝手に遊びにおいでなさるんだなんて言いはしない。」
「そう云ってしまっては、一も二も無いけれど。」
「また、一も二も無いんで
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