。」
「待っていたって、私は方々に用があるんだもの、さっさと行って下さらないじゃ、」
「何ですねえ、邪険な、和女《あなた》を待っていたんですよ。来がけに草深へも寄ったのよ。一所に連れて行って欲しいと思って。――さあ、それでは行きましょうね。」
「私は用があるわ。」
「寄道をするんですか。」
「じゃ……ないけども、これから、この早瀬さんと一議論して、何でも慈善会へ引張り出すんですから手間が取れてよ。」
 とまだ坐りもせぬ。
 主税は腕組をしながら、
「はははは、まあ、貴女も、お聞きなさい、お菅さんの議論と云うのを。いくら僕を説いたって、何にもなりゃしないんですから。」
「承わって参りましょうか。」
 と姉夫人が立ちかけた膝をまた据えて、何となく残惜そうな風が見えると、
「早くいらっしゃらなくっちゃ……私は可《い》いけれども、姉さん、貴女は兄さん(医学士)がやかましいんだもの、面倒よ。」
 と見下《みおろ》す顔を、斜めに振仰いだ、蒼白《あおじろ》い姉の顔に、血が上《のぼ》って、屹《きっ》となったが、寂しく笑って、
「ああ、そうね、私は前《さき》に参りましょう。会場の様子は分らないけれど、別
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