果敢《はか》なく聞えた。
「ああ、そんならそうおしな。どれ、大急ぎで、いいつけよう。」
「戸外《おもて》は暑かろうねえ。」
「何の、お蔦さん。お嬢さんに上げるんだもの、無理にも洋傘《こうもり》をさすものか。」
「角の小間物屋で電話をお借りよ。」
「ああ、知ってるよ。あんまりあらくない中くらいな処が好《よ》かろうねえ。」
「私はヤケに大串が可いけれど、お嬢さんは、」
「ここで皆《みんな》一所に食べるんでなくっちゃ、厭。」
「お相伴しますとも、お取膳とやらで、」
と小芳が嬉しそうに云う。
「じゃ、私も大きいの。」
「感心、」
とお蔦が莞爾《にっこり》。
「驚きましたねえ。」
と立つ。
「御飯も一所よ。」
「あいよ、」
と框《かまち》を下りる時、褄《つま》を取りそうにして、振向いた目のふちが腫《はれ》ぼったく、小芳は胸を抱いて、格子をがらがら。
「お嬢さん、」
とお蔦が懐しそうに、
「もともと、そういう約束で別れたんですけれど、私の方へも丸一年……ちっとも便《たより》がないんですよ。
人が教えてくれましてね、新聞を見ると、すっかり土地の様子が知れるッて言いますから、去年の七月から
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