から、そうしたらば、あの……」
と蓐《とこ》の端につかまって、お蔦の顔を覗くようにして、
「貴女も、私を可厭《いや》がらないで、一所に遊んで頂戴よ。前《ぜん》に飯田町に行きたくっても、貴女が隠れるから、どんなに遠慮だったか知れないわ。」
もう二人とも泣いていたが、お蔦は、はッと面《おもて》を伏せた。
二十五
涙を払って、お蔦が、
「姉さん、私は浮世に未練が出た。また生命《いのち》が惜《おし》くなったよ。皆さんに心配を懸けないで、今日からお医師《いしゃ》にも懸りましょう、薬も服《の》むよ。
お嬢さん、もう早瀬さんには逢えなくっても、貴女がお達者でいらっしゃいます内は、死にたくはなくなりました。」
と身をせめて、わなわな震える。
「寒気がするのねえ、さあ、お寝なさいよ、私が掛けて上げましょう。」
掻巻《かいまき》の襟へ惜気もなく、お妙が袖も手も入れて引くのを見て、
「ああ、勿体ない。そんなになすっては不可《いけ》ません。皆《みんな》がそうじゃないって言いますけれど、私は色のついた痰《たん》を吐きますから、大切なお身体《からだ》に、もしか、感染《うつり》でもする
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