て、九段から、電車に乗るのは分ったの。だけどもねえ、一度|万世橋《めがね》で降りてしまって、来られなくなった事があるのよ。
そのお友達と一所に来ると、新富座の処まで教えて上げましょうッて云うんだけれど、学校でまた何か言われると悪いから、今日も同一《おなじ》電車に乗らないように、招魂社の中にしばらく居たら、男の書生さんが傍《そば》へ来て附着《くッつ》いて歩行《ある》くんですもの。私、斬られるかと思って可恐《こわ》かったわ、ねえ、お臀《しり》の肉《み》が薬になると云うんでしょう、ですもの、危いわ。
もう一生懸命にここへ来て、まあ、可《よ》かった、と思ってよ。
あのね、あの、」
と蓐《とこ》の綴糸《とじいと》を引張って、
「貴女も主税さんも、父さんに叱られてそれでこうしているんだって、可哀相だわ。私なら黙っちゃいないわ、我儘《わがまま》を云ってやるわ。だって、自分だって、母様《かあさん》が不可《いけ》ないと云うお酒を飲んで仕様が無いんですもの。自分も悪いのよ。
貴女叱られたら、おあやまんなさいよ。そしてね、父さんはね、私や母様の云う事は、それは、憎らしくってよ、ちっとも肯《き》かな
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