も無かった。
小芳の心中、ともかくも、お蔦の頼み少ない風情は、お妙にも見て取られて、睫毛《まつげ》を幽《かすか》に振わしつつ、
「お医者には懸っているの。」
「いいえ、私もその意見をしていた処でござんすよ。お医者様にもろくに診《み》て貰わないで、薬も嫌いで飲まないんですもの、貴女からもそう云ってやって下さいましな。」
と、はじめて煙草盆から一服吸って、小芳はお妙の声を聞くのを、楽しそうに待つ顔色《かおつき》。
お取膳
二十四
その時お妙の言《ことば》というのが、余り案外であったのから、小芳は慌《あわただ》しく銀の小さな吸口を払《はた》いて煙管《きせる》を棄てたのである。
「お医者もお薬も、私だって大嫌いだわ。」
と至って真面目《まじめ》で、
「まずいものを内服《のま》せて、そしてお菓子を食べては悪いの、林檎を食べては不可《いけな》いの、と種々《いろん》なことを云うんですもの。
そんな事よりねえ、面白いことをしてお遊びなさいよ。」
小芳が(まあ。)と云う体で呆れると、お蔦は寂しそうな笑《えみ》を見せて、
「お嬢さん、その貴嬢《あなた》、面白いこ
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