二十三

 お妙は時に、小芳の背後《うしろ》で、内証《ないしょう》で袂を覗《のぞ》いていたが、細い紙に包んだものを出して気兼ねそうに、
「小母さん、あの、お蔦さんが煩らっていらっしゃる事は、私は知らなかったんですから、お見舞じゃないの、あのね、あの、お土産に、私、極りが悪いわ。何にも有りませんから、毛糸で何か編んで上げようと思ったのよ。
 だけれども何が可いか、ちっとも分らないでしょう。粋な芸者|衆《しゅ》だから、ハイカラなものは不可《いけな》いでしょう。靴足袋も、手袋も、銀貨入も、そんなものじゃ仕方が無いから、これをね、私、極りが悪いけれども持って来ました。小母さんから上げて頂戴。」
「お喜びなさいよ、お嬢さんが、」
「まあ、」
 と嬉しそうに頂くのを、小芳は見い見い、蒲団へ膝を乗懸けて、
「何を下すったい。」
「開けて見ても可いかね。」
「早く拝見おしなねえ。」
「あら! 見ちゃ可厭《いや》よ、酷《ひど》いわ、小母さんは。」
 と背中を推着《おッつ》いて、たった今まで味方に頼んだのを、もう目の敵《かたき》にして、小突く。
 お蔦は病気で気も弱って、
「遠慮しましょうかね、」と柔順《
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