の筋の係が、其奴を附廻して、同じ夜《よ》の午前二時頃に、浅草橋辺で、フトした星が附いて取抑えると、今度は袱紗《ふくさ》に包んだ紙入ぐるみ、手も着けないで、坂田氏の盗られた金子《かね》を持っていたんだ。
 ねえ、貴娘。拘引《こういん》して厳重に検べたんだね。どこへそれまで隠して置いたか。先刻は無かった紙入を、という事になる……とです。」
 あくまで慎重に教頭が云うと、英吉が軽※[#「勹<夕」、第3水準1−14−76]《そそっか》しく、
「妙だ、妙だよ。妙さなあ。」

       五十

「攫徒《すり》の名も新聞に出ているがね、何とか小僧|万太《まんた》と云うんだ。其奴《そいつ》の白状した処では、電車の中で掏った時、大不出来《おおふでか》しに打攫《ふんづか》まって、往生をしたんだが、対手《あいて》が面《つら》を撲《なぐ》ったから、癪《しゃく》に障って堪《たま》らないので、ちょうど袖の下に俯向《うつむ》いていた男の袖口から、早業でその紙入をずらかし込んで、もう占めた、とそこで逆捻《さかねじ》に捻じたと云うんだね。
 ところで、まん[#「まん」に傍点]直しの仕事でもしたいものだと、柳橋辺を、
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