を内へ入れる奴も弟子じゃないのだ、分らんか。」
四十四
折から食卓を持って現れた、友染のその愛々しいのは、座のあたかも吹荒んだ風の跡のような趣に対して、散り残った帰花《かえりばな》の風情に見えた。輝く電燈の光さえ、凩《こがらし》の対手《あいて》や空に月一つ、で光景が凄《すさま》じい。
一言も物いわぬ三人の口は、一度にバアと云って驚かそうと、我がために、はた爾《しか》く閉されているように思って、友染は簪《かんざし》の花とともに、堅くなって膳を据えて、浮上るように立って、小刻《こきざみ》に襖《ふすま》の際。
川千鳥がそこまで通って、チリチリ、と音《ね》が留まった。杯洗《はいせん》、鉢肴《はちさかな》などを、ちょこちょこ運んで、小ぢんまりと綺麗に並べる中《うち》も、姉さんは、ただ火鉢をちっとずらしたばかり、悄《しお》れて俯向《うつむ》いて、ならば直ぐに、頭《つむり》が打つのを圧《おさ》えたそうに、火箸に置く手の白々と、白けた容子を、立際に打傾《うちかし》いで、熟《じっ》と見て出ようとする時、
「食うものはこれだけか。」
と酒井は笑みを含んだが、この際、天窓《あたま》
前へ
次へ
全428ページ中150ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング