われ》聞《き》く、昔《むかし》は呉道子《ごだうし》、地獄變相《ぢごくへんさう》の圖《づ》を作《つく》る。成都《せいと》の人《ひと》、一度《ひとたび》是《これ》を見《み》るや咸《こと/″\》く戰寒《せんかん》して罪《つみ》を懼《おそ》れ、福《ふく》を修《しう》せざるなく、ために牛肉《ぎうにく》賣《う》れず、魚《うを》乾《かわ》く。
漢《かん》の桓帝《くわんてい》の時《とき》、劉褒《りうはう》、雲漢《うんかん》の圖《づ》を畫《ゑが》く、見《み》るもの暑《しよ》を覺《おぼ》ゆ。又《また》北風《ほくふう》の圖《づ》を畫《ゑが》く、見《み》るもの寒《かん》を覺《おぼ》ゆ。
呉《ご》の孫權《そんけん》、或時《あるとき》、曹《さう》再興《さいこう》をして屏風《びやうぶ》に畫《ゑが》かしむ、畫伯《ぐわはく》筆《ふで》を取《と》つて誤《あやま》つて落《おと》して素《しろ》きに點《てん》打《う》つ。因《よ》つてごまかして、蠅《はへ》となす、孫權《そんけん》其《そ》の眞《しん》なることを疑《うたが》うて手《て》を以《もつ》て彈《はじ》いて姫《き》を顧《かへり》みて笑《わら》ふといへり。王右丞《わううしよ
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