馬だ――馬だ――
 遠く叫んだ、声が響いて、小さな船は舳《みよし》を煽《あお》り、漁夫は手を挙げた。
 その泳いだ形容は、読者の想像に任せよう。
 巳の時の夫人には、後日の引見を懇請して、二人は深く礼した。
 そのまま、沼津に向って、車は白鱗青蛇《はくりんせいだ》の背を馳《は》せた。
[#地から1字上げ]大正十五(一九二六)年十月



底本:「泉鏡花集成8」ちくま文庫、筑摩書房
   1996(平成8)年5月23日第1刷発行
底本の親本:「鏡花全集」岩波書店
   1942(昭和17)年7月刊行開始
入力:門田裕志
校正:林 幸雄
2001年9月17日公開
2005年9月26日修正
青空文庫作成ファイル:
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