う》懐石で、そこに、月並に、懇意なものの会がある。客が立込んだ時ここから選抜《えりぬ》きで助《す》けに来た、その一人である。
「どこかへいらっしゃる、ちょっと紅茶でも。」
 面喰《めんくら》った慌《あわただ》しい中にも、忽然として、いつぞのむかし吉原の横町の、ずるずる引摺《ひきず》った青い裳《すそ》と、紅《あか》い扱帯《しごき》と、脂臭《やにくさ》い吸いつけ煙草を憶起《おもいおこ》すと、憶起す要はないのに、独りで恥しくなって、横を向いた。
「お可厭《いや》。」
「飛んでもない。」
「あら、ご挨拶。」
「飛んでもない。可厭なものかね。」
「お世辞のいいこと、熱燗《あつかん》も存じております。どうぞ――さあいらっしゃい。」

       二十五

「人が見ては厭《いや》なんでしょう。お馴《な》れなさらない場所ですから。――あいにく三組ばかり宴会があって、多勢お見えになっていますから。……ああと……こっちが可いわ。」
 拙者生れてより、今この年配《とし》で、人見知りはしないというのに、さらさら三方をカーテンで囲って、
「覗《のぞ》いちゃ不可《いけ》ません。」
 何事だろうと、布目を覗く若い
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