かま》で、すっと翳《さ》す、姿は好いね。処をだよ。……呼べば軒下まで俥《くるま》の自由につく処を、「お俥。」となぜいわない。「お傘。」と来ては、茶屋めが、お互の懐中《ふところ》を見透かした、俥賃なし、と睨《にら》んだり、と思ったから、そこは意地だよ、見得もありか、土手まで雪見だ、と仲之町で袖を払った。」
「私は、すぼめた。」
「ははは、借りものだっけな、皮肉をいうなよ。息子はおとなしく内輪が好い。がつらつら思うに、茶屋の帳場は婆さんか、痘痕《あばた》の亭主に限ります。もっともそれじゃ、繁昌はしまいがね。早いから女中はまだ鼾《いびき》で居る。名代の女房の色っぽいのが、長火鉢の帳場奥から、寝乱れながら、艶々とした円髷《まるまげ》で、脛《はぎ》も白やかに起きてよ、達手巻《だてまき》ばかり、引掛《ひっか》けた羽織の裏にも起居《たちい》の膝にも、浅黄縮緬《あさぎちりめん》がちらちらしているんだ。」……
二十三
つれづれ草の作者に音が似ているから、法師とも人が呼ぶ、弦光法師は、盃《さかずき》を置き息をついて、
「しかも件《くだん》の艶なのが、あまつさえ大概番傘の処を、その浅黄を
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