、足はただようのに、向ううつむけに沈んで行《ゆ》く。……
 脊の高い方は、それでも外套《がいとう》一着で、すっぽりと中折帽を被《かぶ》っている。が、寸の短い方は、黒の羽織に袴なし、蓑《みの》もなしで、見っともない、その上|紋着《もんつき》。やがて渚に聞けば、しかも五つ紋で。――これは外套の頭巾ばかりを木菟《みみずく》に被って、藻抜けたか、辷落《すべりお》ちたか、その魂魄《こんぱく》のようなものを、片手にふらふらと提げている。渚に聞けば、竹の皮包だ――そうであった。
「――あれ、辻町さんよ、ちょいと。」
「辻……町」
「糸七さんですってば。――つい、取紛れて、いきなり噂をしようって処、おくれちまいましたんですがね、いま、さっき、現にいま……」
「今……」
「懐剣、といって、花々しく、あなたがその木戸をお開けなすった時ですよ。立停《たちどま》ってしばらく見ていましたんですよ、二人とも。頭巾を被っておいでだし、横吹きに吹掛けていましたから、お気がつかなかったんです。もっともね、すぐその前、あすこで――私はお約束の大時計より、大変な後《おく》れ方ですから、俥《くるま》をおりると、早廻りに、すぐ
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