》、おぼろげならぬ殿ぶりを、見初《みそ》めて、そめて、恥かしの、森の下露、思いは胸に、」
 と早饒舌《はやしゃべ》りの一息にやってのけ、
「わあい……光邦、妖術にかかって、宙に釣られて、ふらふらしてるよ。」
 背中にひったり、うしろ姿でお京が立ったのを、弱った糸七は沓脱《くつぬぎ》がないから、拭いた足を、成程釣られながら、密《そっ》と振向いて見ると、愁《うれい》を瞼《まぶた》に含めて遣瀬《やるせ》なさそうに、持ち忘れたもののような半※[#「巾+白」、第4水準2−8−83]《ハンケチ》が、宙に薄青く、白昼《まひる》の燐火《おにび》のように見えて、寂しさの上に凄《すご》いのに、すぐ目を反らして首垂《うなだ》れた。
 お滝が、ひょいと、飛んで傍《そば》へ来て、
「きれいなお姉ちゃん、少しお動きよ。」
「はい、動きましょう。」
 と、縁をうつくしい褄捌《つまさば》き、袖の動きに半※[#「巾+白」、第4水準2−8−83]を持添えて、お滝の掌《てのひら》へ、ひしと当てた。
「これ、雑巾のおうつりです。」
「あら、あら、私に。」
「でも新しいんですから。」
 お滝は受けた半※[#「巾+白」、第4水準
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