の住居《すまい》も名も、すぐ分るだろう、というので、誰に見せる気だか薄化粧《うすげ》って。」
「白粉《おしろい》を?……遣るだろう!」
「すぼめ口に紅をつけて「ほほほ景気はどうかね。」とお伽堂へ一人で青麟が顕《あら》われたそうだ。この方は、女房の手にも足にも触りっこなし、傍へ寄ろうともしない澄まし方、納まり方だそうだが、見ていると、むかっとする、離れていても胸が悪い、口をきかれると、虫唾《むしず》が走る、ほほほ、と笑われると、ぐ、ぐ、と我知らず、お時が胸へ嘔上《こみあ》げて、あとで黄色い水を吐く……」
「聞いちゃおられん、そ、そいつが我がお京さんを。」
「痛い、痛い。」
「あ、何度めだい、また握手した。糸|的《こう》もよく一息に饒舌《しゃべ》ったなあ。」

       三十一

「まず握手を解こう。両方がこう意気込んでは、青麟輩に――断って置くが、意地にも我慢にも、所得は違うが――彼等に対して、いやしくも、糸七、弦光二人|掛《がか》りのようで癪に障る。そこで、大切なその話はどうなったんだい。」
「……いずれ、その安料理屋へ青麟を請待《しょうだい》さ。こいつは、あと二人より大分に値が違
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