た》き汗を覚えたのこそ、天人《てんにん》の五衰《ごすい》のはじめとも言はう。
気をかへて屹《きっ》と成つて、もの忘れした後見《こうけん》に烈《はげ》しくきつかけを渡す状《さま》に、紫玉は虚空《こくう》に向つて伯爵の鸚鵡《おうむ》を投げた。が、あの玩具《おもちゃ》の竹蜻蛉《たけとんぼ》のやうに、晃々《きらきら》と高く舞つた。
「大神楽《だいかぐら》!」
と喚《わめ》いたのが第一番の半畳《はんじょう》で。
一人|口火《くちび》を切つたから堪《たま》らない。練馬大根《ねりまだいこん》と言ふ、おかめと喚《わめ》く。雲の内侍《ないじ》と呼ぶ、雨《あめ》しよぼを踊れ、と怒鳴《どな》る。水の輪の拡がり、嵐の狂ふ如く、聞くも堪へない讒謗《ざんぼう》罵詈《ばり》は雷《いかずち》の如く哄《どっ》と沸《わ》く。
鎌倉殿《かまくらどの》は、船中に於て嚇怒《かくど》した。愛寵《あいちょう》せる女優のために群集の無礼を憤《いきどお》つたのかと思ふと、――然《そ》うではない。這般《この》、好色の豪族は、疾《はや》く雨乞の験《しるし》なしと見て取ると、日の昨《さく》の、短夜《みじかよ》もはや半《なか》ばなりし
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