ぼろぼんのぼろぼん。
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侍女等わざとはらはらと逃ぐ、朱の盤五人を追廻す。
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ぼろぼんぼろぼん、ぼろぼんぼろぼん。(やがて侍女に突かれて※[#「てへん+堂」、第4水準2−13−41]《どう》と倒る)などか利験のなかるべき。
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葛 利験はござんしょうけれどな、そんな話は面白うござんせぬ。
朱の盤 (首を振って)ぼろぼん、ぼろぼん。
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鞠唄聞ゆ。
――私《わし》が姉《あね》さん三人ござる、一人姉さん鼓が上手。
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一人姉さん太鼓が上手。
いっちよいのが下谷《したや》にござる。
下谷一番|達《だて》しゃでござる。二両で帯買うて、
三両で括《く》けて、括けめ括けめに七総《ななふさ》さげて、
折りめ折りめに、いろはと書いて。――
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葛 さあ、お先達、よしの葉の、よい女郎衆ではござんせぬが、参ってお酌。(扇を開く。)
朱の盤 ぼろぼんぼろぼん。(同じく扇子にうく)おとととと、ち
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