った、後はもうお念仏になりそうな、小宮山は恐る恐る、女の微笑《ほほえ》んでおります顔を見て、どうかこうか、まあ殺されずに済みそうだと、思うばかりでございまする。
「一体|物好《ものずき》でこんな所へ入って来たお前さんは、怖いものが見たいのだろう。少々ばかりね。」
「いえ、何。」と口の内。
「まあ、おいでなさい。」
 妾《わらわ》に跟《つ》いてこっちへと、宣示《のりしめ》すがごとく大様に申して、粛然と立って導きますから、詮方《せんかた》なしに跟《つ》いて行く。土間が冷く踵《くびす》に障ったと申しますると、早や小宮山の顔色|蒼然《そうぜん》!
 話に聴いた、青色のその燈火《ともしび》、その台、その荒筵《あらむしろ》、その四辺《あたり》の物の気勢《けはい》。
 お雪は台の向《むこう》へしどけなく、崩折《くずお》れて仆《たお》れていたのでありまする。女は台の一方へ、この形《かた》なしの江戸ッ児を差置いて、一方へお雪を仆した真中《まんなか》へぬッくと立ち、袖短《そでみじか》な着物の真白《まっしろ》な腕を、筵の上へ長く差し伸《のば》して、ざくりと釘を一ト掴《つかみ》。
「どうだね、お客様。」
「ど
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