まじゃ居られないと、突立《つッた》ちました小宮山は、早く既にお雪が話の内の一員に、化しおおしたのでありまする。
 その場へ踏み込み扶《たす》けてくりょうと、いきなり隔《へだて》の襖《ふすま》を開けて、次の間へ飛込むと、広さも、様子も同じような部屋、また同じような襖がある。引開けると何もなく、やっぱり六畳ばかりの、広さも、様子も、また襖がある。がたりと開ける、何もなくて少しも違わない部屋でありまする。
 阿房宮より可恐《おそろ》しく広いやと小宮山は顛倒《てんとう》して、手当り次第に開けた開けた。幾度遣っても笥《たかんな》の皮を剥《む》くに異ならずでありまするから、呆れ果てて※[#「てへん+堂」、第4水準2−13−41]《どう》と尻餅、茫然《ぼんやり》四辺《あたり》を※[#「目+句」、第4水準2−81−91]《みまわ》しますると、神農様の画像を掛けた、さっき女が通したのと同じ部屋へ、おやおやおや。また南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と耳に入ると、今度は小宮山も釣込まれて、思わず南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。
 その時すらりと襖を開け、
「誰方《どなた》だい、今お騒ぎなすったのは。」
「へい。」とい
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