註文帳
泉鏡花

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)天窓《あたま》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|間《けん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]
−−

[#ここから3字下げ]
剃刀研  十九日  紅梅屋敷  作平物語  夕空  点灯頃


雪の門  二人使者  左の衣兜  化粧の名残
[#ここで字下げ終わり]
[#改ページ]

     剃刀研

       一

「おう寒いや、寒いや、こりゃべらぼうだ。」
 と天窓《あたま》をきちんと分けた風俗、その辺の若い者。双子《ふたこ》の着物に白ッぽい唐桟《とうざん》の半纏《はんてん》、博多《はかた》の帯、黒八丈の前垂《まえだれ》、白綾子《しろりんず》に菊唐草浮織の手巾《ハンケチ》を頸《うなじ》に巻いたが、向風《むこうかぜ》に少々鼻下を赤うして、土手からたらたらと坂を下り、鉄漿溝《おはぐろどぶ》というのについて揚屋町《あげやまち》の裏の田町の
次へ
全88ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング