茸の舞姫
泉鏡花
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)杢《もく》さん
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)お宗旨|違《ちがい》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)引※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]《ひんむし》って
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一
「杢《もく》さん、これ、何《なあに》?……」
と小児《こども》が訊《き》くと、真赤《まっか》な鼻の頭《さき》を撫《な》でて、
「綺麗な衣服《べべ》だよう。」
これはまた余りに情《なさけ》ない。町内の杢若《もくわか》どのは、古筵《ふるむしろ》の両端へ、笹《ささ》の葉ぐるみ青竹を立てて、縄を渡したのに、幾つも蜘蛛《くも》の巣を引搦《ひっから》ませて、商売《あきない》をはじめた。まじまじと控えた、が、そうした鼻の頭《さき》の赤いのだからこそ可《よ》けれ、嘴《くちばし》の黒い烏だと、そのままの流灌頂《ながれかんちょう》。で、お宗旨|違《ちがい》の神社の境内、額の古びた木の鳥居の傍《かたわら》
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