職 何、あの梟鳥《ふくろどり》をお返事とは?
媛神 あなた方《がた》の言う事は、私《わたし》には、時々あのように聞こえます。よくお聞きなさるがよい。
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――梟、頻《しきり》に鳴く。「のりつけほうほう」――
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老仕丁 のりつけほうほう。のりたもうや、つげたもうや。あやしき神の御声《おんこえ》じゃ、のりつけほうほう。(と言うままに、真先《まっさき》に、梟に乗憑《のりうつ》られて、目の色あやしく、身ぶるいし、羽搏《はばたき》す。)
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――これを見詰めて、禰宜と、仕丁と、もろともに、のり憑《つ》かれ、声を上ぐ。――「のりつけほう。――のりつけほうほう、ほう。」
次第に村人ら皆|憑《うつ》らる――「のりつけほうほう。ほうほう。ほうほう」――
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神職 言語《ごんご》道断、ただ事《ごと》でない、一方《ひとかた》ならぬ、夥多《おびただ》しい怪異じゃ。したたかな邪気じゃ。何が、おのれ、何が、ほうほう……
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