―いや、小児衆《こどもしゅ》――(渠《かれ》ら幼きが女の児《こ》二人、男の子三人にて、はじめより神楽を見て立つ)――一遊び遊んだら、暮れぬ間《ま》に帰らっしゃい。
後見 これ、立巌《たちいわ》にも、一本橋《いっぽんばし》にも、えっと気をつきょうぞよ。
小児一 ああ。
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かくて社家《しゃけ》の方《かた》、樹立《こだち》に入《い》る。もみじに松を交《まじ》う。社家は見えず。
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小児二 や、だいぶ散らかした。
小児三 そうだなあ。
小児一 よごれやしないやい、木《き》の葉だい。
小児二 木の葉でも散らばった、でよう。
女児一 もみじでも、やっぱり掃くの?
女児二 茣蓙《ござ》の上に散っていれば、内でもお掃除《そうじ》するわ。
女児一 神様のいらっしゃる処よ、きれいにして行きましょう。
女児二 お縁は綺麗《きれい》よ。
小児一 じゃあ、階段《だんだん》から。おい、箒《ほうき》の足りないものは手で引掻《ひっか》け。
女児一 私《わたし》は袂《たもと》にするの。
小児二 乱暴だなあ、女のくせに。
女児三 だ
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