なり、ばったり消えて、何の事もありませんでしたが、もしやの時と、皆《みんな》が心掛けておきました、蝋燭《ろうそく》を点《つ》けて、跡始末に掛《かか》ると、さあ、可訝《おかし》いのは、今の、怪我で取落した小刀《ナイフ》が影も見えないではありませんか。
 驚きました。これにゃ、皆《みんな》が貴僧《あなた》、茶釜《ちゃがま》の中へ紛れ込んで祟《たた》るとか俗に言う、あの蜥蜴《とかげ》の尻尾《しっぽ》の切れたのが、行方知れずになったより余程《よっぽど》厭な紛失もの。襟へ入っていはしないか、むずむずするの、褌《ふんどし》へささっちゃおらんか、ひやりとするの、袂《たもと》か、裾《すそ》か、と立つ、坐る、帯を解きます。
 前にも一度、大掃除の検査に、階子《はしご》をさして天井へ上った、警官《おまわり》さんの洋剣《サアベル》が、何かの拍子に倒《さかさま》になって、鍔元《つばもと》が緩んでいたか、すっと抜出《ぬけだ》したために、下に居たものが一人、切られた事がある座敷だそうで。
 外のものとは違う。切物《きれもの》は危い、よく探さっしゃい、針を使ってさえ始める時と了《しま》う時には、ちゃんと数を合わせる
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