れば、いきなり三宝|火箸《ひばし》でも火吹竹でも宙で振廻す人もある――まあ一人や二人は、きっとそれだけで縁から飛出して遁《に》げて行《ゆ》きます。」

       二十三

「どたん、ばたん、豪《えら》い騒ぎ。その立騒ぐのに連れて、むくむくむくむく、と畳を、貴僧《あなた》、四隅から持上げますが、二隅ずつ、どん、どん、順に十畳敷を一時《いっとき》に十ウ、下から握拳を突出すようです。それ毛だらけだ、わあ女の腕だなんて言いますが、何、その畳の隅が裏返るように目まぐるしく飜《かえ》るんです。
 もうそうなると、気の上《あが》った各自《てんで》が、自分の手足で、茶碗を蹴飛《けと》ばす、徳利《とっくり》を踏倒す、海嘯《つなみ》だ、と喚《わめ》きましょう。
 その立廻りで、何かの拍子にゃ怪我もします、踏切ったくらいでも、ものがものですから、片足切られたほどに思って、それがために寝ついたのもあるんだそうで。漁師だとか言いましたっけ。一人、わざわざ山越えで浜の方から来たんだって、怪物《ばけもの》に負けない禁厭《まじない》だ、と※[#「魚+覃」、第3水準1−94−50]《えい》の針を顱鉄《はちがね》がわ
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