《かるた》の絵かと疑わるる。
「ええ、」
 と黒門の年若な逗留《とうりゅう》客は、火のない煙草《たばこ》盆の、遥《はるか》に上の方で、燧灯《マッチ》を摺《す》って、静《しずか》に吸《す》いつけた煙草の火が、その色の白い頬に映って、長い眉を黒く見せるほど室《ま》の内は薄暗い。――差置かれたのは行燈《あんどう》である。
「まだその以前でした。話すと大勢が気にしますから、実は宰八と云う、爺さん……」
「ああ、手《てん》ぼうの……でございますな。」
「そうです。あの親仁《おやじ》にも謂《い》わないでいたんですが、猫と一所に手毬の亡くなりますちつと、前です。」
 この古館《ふるやかた》のまずここへ坐りましたが、爺さんは本家へ、と云って参りました。黄昏《たそがれ》にただ私一人で、これから女中が来て、湯を案内する、上《あが》って来ます、膳《ぜん》が出る。床を取る、寝る、と段取の極《きま》りました旅籠屋《はたごや》でも、旅は住心《すみごころ》の落着かない、全く仮の宿です……のに、本家でもここを貸しますのを、承知する事か、しない事か。便りに思う爺さんだって、旅他国で畔道《あぜみち》の一面識。自分が望んで
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