膚《はだ》に波立つ血汐《ちしお》となって、聞こえぬ耳に調《しらべ》を通わす、幽《かすか》に触る手と手の指は、五ツと五ツと打合って、水晶の玉の擦れる音、戦《わなな》く裳《もすそ》と、震える膝《ひざ》は、漂う雲に乗る心地。
 ああこれこそ、我が母君……と縋《すが》り寄れば、乳房に重く、胸に軽《かろ》く、手に柔かく腕《かいな》に撓《たゆ》く、女は我を忘れて、抱く――
 我児《わがこ》危い、目盲《めし》いたか。罪に落つる谷底の孤家《ひとつや》の灯とも辿《たど》れよ。と実の母君の大空から、指さしたまう星の光は、電《いなずま》となって壁に閃《ひら》めき、分れよ、退《の》けよ、とおっしゃる声は、とどろに棟に鳴渡り、涙は降って雨となる、情《なさけ》の露は樹に灌《そそ》ぎ、石に灌ぎ、草さえ受けて、暁の旭《あさひ》の影には瑠璃《るり》、紺青《こんじょう》、紅《くれない》の雫《しずく》ともなるものを。
 罪の世の御二人には、ただ可恐《おそろ》しく、凄《すさま》じさに、かえって一層、ひしひしと身を寄せる。
 そのあわれさに堪えかねて、今ほども申しました、児《こ》を思うさえ恋となる、天上の規《のり》を越えて、掟
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