ここで字下げ終わり]
もしや手毬唄の中に、こういうのは無かったでしょうか、と叔母にその話をすると、真日中《まびなか》にそんなものを視《み》て、そんなことを云う貴下《あなた》は、身体《からだ》が弱いのです。当分外へは出てはなりません、と外出|禁制《きんぜい》。
以前は、その形で、正真正銘の熊の胆《い》、と海を渡って売りに来たものがあるそうだけれど、今時はついぞ見懸けぬ、と後での話。……」
三十二
「日が経《た》ってから、叔母が私の枕許《まくらもと》で、さまでに思詰めたものなら、保養かたがた、思う処へ旅行して、その唄を誰かに聞け。
(妹の声は私も聞きたい。)
と、手函《てばこ》の金子《かね》を授けました。今もって叔母が貢いでくれるんです。
国を出て、足かけ五年!
津々浦々、都、村、里、どこを聞いても、あこがれる唄はない。似たのはあっても、その後か、その前《さき》か、中途か、あるいはその空間か、どこかに望みの声がありそうだな……と思うばかり。また小児《こども》たちも、手毬が下手になったので、終《しまい》まで突き得ないから、自然長いのは半分ほどで消えています。
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