は喜びますそうです。持主の本宅が喜びますものを、誰に御遠慮が入《い》りますものですか。私もお連《つれ》があって、どんなに嬉しいか知れません。」
「そりゃ、鶴谷殿はじめ、貴下の思召しはさように難有《ありがと》うございましても、別にその……ええ、まず、持主が鶴谷としますと、この空屋敷の御支配でございますな、――その何とも異様な、あの、その、」
「それは私も御同然です。人の住むのが気に入らないので荒れるのだろうと思いますが。
そこなんです、貴僧《あなた》。逆《さから》いさえしませんければ、畳も行燈《あんどう》も何事もないのですもの。戸障子に不意に火が附いてそこいらめらめら燃えあがる事がありましても、慌てて消す処は破れ、水を掛けた処は濡れますが、それなりの処は、後で見ますと濡れた様子もないのですから。
座敷だっていくらもあります、貴僧、」
とふと心づいたように、
「御一所でお煩《うるさ》ければ、隣のお座敷へいらっしゃい。何か正体を見届けようなぞと云っては不可《いけ》ませんが、鶴谷が許したお客僧が、何も御遠慮には及びません。
ただすらりと開かないで、何かが圧《おさ》えてでもいるようでした
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