を辷《すべ》り落ちて、消えたは可《い》いが、ぽたりぽたり雫《しずく》がし出した。頸《えり》と言わず、肩と言わず、降りかかって来ましたが、手を当てる、とべとりとして粘る。嗅《か》いでみると、いや、貴僧《あなた》、悪甘い匂と言ったら。
 夜深しに汗ばんで、蒸々《むしむし》して、咽喉《のど》の乾いた処へ、その匂い。血腥《ちなまぐさ》いより堪《たま》りかねて、縁側を開けて、私が一番に庭へ出ると、皆《みんな》も跣足《はだし》で飛下りた。
 驚いたのは、もう夜が明けていたことです。山の巓《いただき》の方は蒼《あお》くなって、麓《ふもと》へ靄《もや》が白んでいました。
 不思議な処へ、思いがけない景色を見て、和蘭陀《オランダ》へ流された、と云うのがあるし、堪らない、まず行燈《あんどう》をつけ直せ、と怒鳴ったのが居る。
 屋根のその辺だ、と思う、西瓜のあとには、烏が居て、コトコトと嘴《はし》を鳴らし、短夜《みじかよ》の明けた広縁には、ぞろぞろ夥《おびただ》しい、褐《かば》色の黒いのと、松虫鈴虫のようなのが、うようよして、ざっと障子へ駆上《かけあが》って消えましたが、西瓜の核《たね》が化《な》ったんです
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