お》るようなんじゃありません。
 竹の皮包みから、この陽気じゃ魚《うお》の宵越しは出来ん、と云って、焼蒲鉾《やきかまぼこ》なんか出して。
 旨《うも》うございましたよ、私もお相伴しましたっけ、」
 と悠々と迫らぬ調子で、
「宵には何事もありませんでした。可《い》い塩梅《あんばい》な酔心地《よいごこち》で、四方山《よもやま》の話をしながら、螽《いなご》一ツ飛んじゃ来ない。そう言や一体蚊も居《お》らんが、大方その怪物《ばけもの》が餌食《えじき》にするだろう。それにしちゃ吝《けち》な食物《くいもの》だ――何々、海の中でも親方となるとかえって小さい物を餌《えさ》にする。鯨《くじら》を見ろ、しこ鰯《いわし》だ、なぞと大口を利いて元気でしたが、やがて酒はお積《つも》りになる、夜が更けたんです。
 ここでお茶と云う処だけれど、茶じゃ理に落ちて魔物が憑《つ》け込む。酔醒《よいざめ》にいいもの、と縁側から転がし出したのは西瓜です。聞くと、途中で畑|盗人《どろぼう》をして来たんだそうで――それじゃかえって、憑込もうではありませんか。」

       二十六

「手並を見ろ、狐でも狸でも、この通りだ、と刃
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