けた声の下。雪洞《ぼんぼり》の真中《まんなか》を、蝶々のように衝《つ》と抜けて、切禿《きりかむろ》で兎《うさぎ》の顔した、女《め》の童《わらわ》が、袖に載《の》せて捧げて来た。手毬を取って、美女《たおやめ》は、掌《たなそこ》の白きが中に、魔界はしかりや、紅梅の大いなる莟《つぼみ》と掻撫《かいな》でながら、袂《たもと》のさきを白歯《しらは》で含むと、ふりが、はらりと襷《たすき》にかかる。
※[#「くさかんむり/(月+曷)」、第3水準1−91−26]《ろう》たけた笑《えみ》、恍惚《うっとり》して、
「まあ、私ばかり極《きまり》が悪い、皆さんも来ておつきでないか。」
蚊帳をはらはら取巻いたは、桔梗《ききょう》刈萱《かるかや》、美《うつく》しや、萩《はぎ》女郎花《おみなえし》、優しや、鈴虫、松虫の――声々に、
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(向うの小沢《おざわ》に蛇《じゃ》が立って、
八幡《はちまん》長者のおと女《むすめ》、
よくも立ったり、企《たく》んだり、
手には二本の珠を持ち、
足には黄金《こがね》のくつを穿《は》き……)
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壁も襖《ふすま》も、もみじした、座敷はさながら手毬の錦――落ちた木《こ》の葉も、ぱらぱらと、行燈《あんどう》を繞《めぐ》って操る紅《くれない》。中を縢《かが》って雪の散るのは、幾つとも知れぬ女の手と手。その手先が、心なしにちょいちょい触ると、僧の手首が自然《おのずから》はたはたと躍上《おどりあが》った。
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(京へのぼせて狂言させて、
寺へのぼせて[#「のぼせて」は底本では「のぼせた」]手習《てならい》させて、
寺の和尚が道楽和尚で、
高い縁から突落されて、)
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と衝《つ》と投げ上げて、トンと落して、高くついた。
待てよ。古郷《ふるさと》の涅槃会《ねはんえ》には、膚《はだ》に抱き、袂《たもと》に捧げて、町方の娘たち、一人が三ツ二ツ手毬を携え、同じように着飾って、山寺へ来て突競《つきくら》を戯れる習慣《ならい》がある。少《わか》い男は憚《はばか》って、鐘撞《かねつき》堂から覗《のぞ》きつつその遊戯《あそび》に見愡《みと》れたが……巨刹《おおでら》の黄昏《たそがれ》に、大勢の娘の姿が、遥《はるか》に壁に掛《かか》った、極彩色の涅槃《ねはん》の絵と、同一状《おなじさま
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