に光るようで。
 変に跨《また》ぎ心地が悪うございますから、避《よ》けて通ろうといたしますと、右の薄光りの影の先を、ころころと何か転げる、たちまち顔が露《あらわ》れたようでございましたっけ、熟《よ》く見ると、兎《うさぎ》なんで。
 ところでその蛇のような光る影も、向《むき》かわって、また私《わたくし》の出途《でさき》へ映りましたが、兎はくるくると寝転びながら、草の上を見附けの式台の方へ参る。
 これが反対《あべこべ》だと、旧《もと》の潜門《くぐりもん》へ押出されます処でございました。強いて入りますほどの度胸はないので。
 式台前で、私はまず挨拶《あいさつ》をいたしたでございます。
 主《ぬし》もおわさば聞《きこ》し召せ、かくの通りの青道心。何を頼みに得脱成仏《とくだつじょうぶつ》の回向《えこう》いたそう。何を力に、退散の呪詛《じゅそ》を申そう。御姿《おんすがた》を見せたまわば偏《ひとえ》に礼拝を仕《つかまつ》る。世にかくれます神ならば、念仏の外他言はいたさぬ。平に一夜、御住居《おすまい》の筵《むしろ》一枚を貸したまわれ……」
 ――旅僧はその時、南無仏《なむぶつ》と唱えながら、漣《ささなみ》のごとき杉の木目の式台に立向い、かく誓って合掌して、やがて笠を脱いで一揖《いちゆう》したのであった。――
「それから、婆さんに聞きました通り、壊れ壊れの竹垣について手探りに木戸を押しますと、直ぐに開《あ》きましたから、頻《しきり》に前刻《さっき》の、あの、えへん!えへん!咳《せきばらい》をしながら――酷《ひど》くなっておりますな――芝生を伝わって、夥《おびただ》しい白粉《おしろい》の花の中を、これへ。お縁側からお邪魔をしたしました。
 あの白粉の花は見事です。ちらちら紅《べに》色のが交って、咲いていますが、それにさえ、貴方《あなた》、法衣《ころも》の袖の障《さわ》るのは、と身体《からだ》をすぼめて来ましたが、今も移香《うつりが》がして、憚《はばかり》多い。
 もと花畑であったのが荒れましたろうか。中に一本、見上げるような丈のびた山百合の白いのが、うつむいて咲いていました。いや、それにもまた慄然《ぞっ》としたほどでございますから。
 何事がございましょうとも、自力を頼んで、どうのこうの、と申すようなことは夢にも考えておりません。
 しかし貴下《あなた》は、唯今うけたまわりましたよう
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