、下《した》から見《み》せては落《お》つこちねえ。其処《そこ》で、人形《にんぎやう》やら、おかめの面《めん》やら、御機嫌取《ごきげんとり》に拵《こしら》へて持《も》つて行つては、莞爾《につこり》させて他愛《たあい》なく見惚《みと》れて居《ゐ》たものでがす。はゝゝ、はじめの内《うち》は納戸《なんど》の押入《おしいれ》へ飾《かざ》つての、見《み》るな見《み》るな、と云《い》ふ。恐《おそ》ろしい、男《をとこ》を食《く》つて骨《ほね》を秘《かく》す、と村《むら》のものが嬲《なぶ》つたつけの……真個《ほん》の孤屋《ひとつや》の鬼《おに》に成《な》つて、狸婆《たぬきばゞあ》が、旧《もと》の色仕掛《いろじか》けで私《わし》に強請《ゆす》つて、今《いま》では銭《おあし》にするでがすが、旦那《だんな》、何《なに》か買《か》はしつたか、沢山《たんと》直切《ねぎ》らつしやれば可《よ》かつけな。」
采《さい》
十三
「おゝ、老爺《おぢい》さんが、あの、種々《いろ/\》なものを。」
と雪枝《ゆきえ》は目《め》の覚《さ》めた顔色《かほつき》して、
「面《めん》も頭《かしら
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