主《ばうず》は手早《てばや》く拾《ひろ》ひ取《と》る。
「いえ、急《いそ》いでは成《な》りません、花《はな》の数《かず》、蝶《てふ》の数《かず》、雲《くも》の数《かず》で無《な》くつては。」と美女《たをやめ》は頭《かしら》を振《ふ》つた。
「えゝ、お姫様《ひいさま》の! 何《ど》うやら今《いま》までの乞目《こひめ》では、一度《いちど》に一年《いちねん》も懸《かゝ》りさうぢや。お庇《かげ》と私等《わしら》は飢《ひもじ》うも、だるうも無《な》けれど、肝心《かんじん》助《たす》け取《と》らうと云《い》ふ、奥様《おくさま》の身《み》をお察《さつ》しやれ。一息《ひといき》に血《ち》一点《ひとたらし》、一刻《いつこく》に肉《にく》一分《いちぶ》は絞《しぼ》られる、削《けづ》られる……天守《てんしゆ》の梁《うつばり》に倒《さかさま》で、身《み》の鞭《むち》に暇《ひま》はないげな。」
「其《そ》の通《とほ》り。」と傲然《がうぜん》として、坊主《ばうず》は身構《みがま》へ為《し》て袖《そで》を掲《かゝ》げた。
四十五
美女《たをやめ》の顔《かほ》の色《いろ》は早《は》や是非《ぜひ
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