》は、十二《じふに》の数《かず》の、黄《き》と紫《むらさき》を、両方《りやうはう》へ、颯《さつ》と分《わ》けて、
「天守《てんしゆ》のお方《かた》。どちらの駒《こま》を……」
「赫耀《かくやく》として日《ひ》に輝《かゞや》く、黄金《わうごん》の花《はな》は勝色《かちいろ》、鼓草《たんぽゝ》を私《わし》が方《はう》へ。」
と痩《や》せた頬《ほゝ》げたの膨《ふく》らむまで、坊主《ばうず》は浮色《うきいろ》に成《な》つて笑《ゑみ》を含《ふく》んで、駒《こま》を二《ふた》つづゝ六行《ろくぎやう》に。
 同《おな》じく二《ふた》つづゝ六行《ろくぎやう》に……紫《むらさき》の格子《かうし》に並《なら》べた。
「紫《むらさき》は朱《あけ》を奪《うば》ふ、お姫様《ひめさま》菫《すみれ》の花《はな》が、勝負事《しようぶごと》には勝色《かちいろ》ぢや。」
と老爺《ぢい》は盤面《ばんめん》を差覗《さしのぞ》いて、坊主《ばうず》を流盻《しりめ》に勇《いさ》んだ顔色《かほつき》。
 これに苦笑《にがわら》ひ為《し》て口《くち》を結《むす》んだ、坊主《ばうず》は心急《こゝろせ》く様子《やうす》が見《み》えて、

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