頼《たの》まれたばかりの事《こと》よ。何《なに》も喰《く》つて懸《かゝ》るには当《あた》らなんだか。……又《また》お前様《めえさま》とても何《なに》もこれ、此《こ》の少《わか》い人《ひと》に怨《うらみ》も恩《おん》も報《むくひ》もあらつしやる次第《しだい》でねえ。……処《ところ》でものは相談《さうだん》ぢやが、何《なん》とかして、其《そ》の奥様《おくさま》を助《たす》けると言《い》ふ工夫《くふう》はねえだか、のう、御坊《ごばう》、人助《ひとだす》けは此方《こなた》の勤《つとめ》ぢや、一《ひと》つ折入《をりい》つて頼《たの》むだで、勘考《かんかう》してくらつせえ。』とがらりと出直《でなほ》る。
四十二
これを聞《き》くと、然《さ》もあらむ、と言《い》ふ面色《おもゝち》した坊主《ばうず》の気色《きしよく》やゝ和《やわ》らいで、
『然《さ》れば、然《さ》う言《い》はれると私《わし》も弱《よわ》る。天守《てんしゆ》からは、よく捌《さば》け、最早《もは》や婦《をんな》を思《おも》ひ切《き》るやう少《わか》い人《ひと》を悟《さと》せとある……御身達《おみたち》は生命《いのち
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