《ほり》の水《みづ》へばちやりと落《お》ちた。が、腹《はら》を出《だ》して浮脂《きら》の上《うへ》にぶくりと浮《う》く。
三十八
『そりや少《わか》い魚《うを》の元気《げんき》を見習《みなら》へ。汝《ぬし》も、ばちや/\と泳《およ》げい。』
で、老爺《ぢい》は今度《こんど》は自分《じぶん》の刻《きざ》んだ魚《うを》を、これは又《また》、不状《ぶざま》に引握《ひんにぎ》つたまゝ斉《ひと》しく投《な》げる、と※[#「さんずい+散」、163−9]《しぶき》が立《た》つたが、浮草《うきくさ》を颯《さつ》と分《わ》けて、鰭《ひれ》を縦《たて》に薄黒《うすぐろ》く、水際《みづぎは》に沈《しづ》んでスツと留《とま》る。ト雪枝《ゆきえ》の作品《さくひん》と並《なら》べた処《ところ》は、恰《あだか》も釣糸《つりいと》に繋《か》けた浮木《うき》が魚《さかな》を追《お》ふ風情《ふぜい》であつた。……
何《なに》をか試《こゝろ》むる、と怪《あやし》んで、身《み》を起《おこ》し汀《みぎは》に立《た》つて、枯蘆《かれあし》の茎《くき》越《ごし》に、濠《ほり》の面《おもて》を瞻《みつ》めた
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