《し》た坊主《ばうず》がある。


       双六盤《すごろくばん》


         三十七

 雪枝《ゆきえ》は合掌《がつしよう》して跪《ひざまづ》いた。
 渠《かれ》の前《まへ》には、一座《いちざ》滑《なめら》かな盤石《ばんじやく》の、其《そ》の色《いろ》、濃《こ》き緑《みどり》に碧《あを》を交《まじ》へて、恰《あだか》も千尋《せんじん》の淵《ふち》の底《そこ》に沈《しづ》んだ平《たひら》かな巌《いは》を、太陽《ひ》の色《いろ》も白《しろ》いまで、霞《かすみ》の満《み》ちた、一塵《いちぢん》の濁《にご》りもない蒼空《あをぞら》に、合《あは》せ鏡《かゞみ》して見《み》るやうな……大《おほき》さは然《さ》れば、畳《たゝみ》三畳《さんでふ》ばかりと見《み》ゆる、……音《おと》に聞《き》く、飛騨国《ひだのくに》吉城郡《よしきごふり》神宝《かんたから》の山奥《やまおく》にありと言《い》ふ、双六谷《すごろくだに》の名《な》に負《お》へる双六巌《すごろくいは》は是《これ》ならむ。巌《いは》の面《おもて》に浮模様《うきもやう》、末《すそ》を揃《そろ》へて、上下《うへした》に香《かう》の図
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