な》されて居《ゐ》るやうな――青年《せいねん》の日向《ひなた》の顔《かほ》、額《ひたひ》に膏汗《あぶらあせ》の湧《わ》く悩《なや》ましげな状《さま》を、然《さ》も気《き》の毒《どく》げに瞻《みまも》つた。
「聞《き》けば聞《き》くほど、へい、何《なん》とも言《い》ひやうはねえ。けんども、お前様《めえさま》、お少《わけ》えに、其《そ》の位《くらゐ》の事《こと》に、然《さ》う気《き》い落《おと》さつしやるもんでねえ。たかゞあれだ、昨夜《ゆふべ》持《も》つて行《ゆ》かしつた其《そ》の形代《かたしろ》の像《ざう》が、お天守《てんしゆ》の…何様《なにさま》か腑《ふ》に落《お》ちねえ処《ところ》があるで、約束《やくそく》の通《とほ》り奥様《おくさま》を返《かへ》さねえもんでがんしよ。だで、最《も》う一《ひと》ツ拵《こさ》えさつせえ。美《うつくし》い婦《をんな》の木像《もくざう》さ又《また》遣直《やりなほ》すだね。えゝ、お前様《めえさま》、対手《あひて》が七六《しちむづ》ヶしいだけに張合《はりえゝ》がある……案山子《かゝし》ぢや成《な》んねえ。素袍《すはう》でも着《き》た徒《てあひ》が玉《たま》の輿
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