と》の上《うへ》には、所狭《ところせま》く鑿《のみ》も鉋《かんな》も散《ちら》かり放題《はうだい》。初手《しよて》は此《こ》の毛布《けつと》に包《くる》んで、夜路《よみち》を城趾《しろあと》へ、と思《おも》つたが、――時鳥《ほとゝぎす》は啼《な》かぬけれども、然《さ》うするのは、身《み》を放《はな》れたお浦《うら》の魂《たましひ》を容《い》れたやうで、嘗《かつ》て城《じやう》ヶ|沼《ぬま》の縁《ふち》で旅僧《たびそう》の口《くち》から魔界《まかい》の暗示《あんじ》を伝《つた》へられたゝめに――太《いた》く忌《いま》はしかつたので、……権七《ごんしち》に取寄《とりよ》せさした着換《きがえ》の衣《きぬ》は、恰《あたか》も祠《ほこら》の屋根《やね》に藤《ふぢ》の花《はな》が咲《さ》きかゝつたのを、月《つき》が破廂《やぶれひさし》から影《かげ》を落《おと》したやうに届《とゞ》いて居《ゐ》た。然《しか》も燃《も》え立《た》つばかりの緋《ひ》の扱帯《しごき》は、今《いま》しも其《そ》の腰《こし》のあたりをする/\と辷《すべ》つた如《ごと》く、足許《あしもと》に差置《さしお》かるゝ。
 縋着《すがり
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