《えんぎ》なき由緒《ゆいしよ》なき、一躰《いつたい》風流《ふうりう》なる女神《によしん》のまざ/\として露《あら》はれたか、と疑《うたが》はれて、傍《かたはら》の棚《たな》に残《のこ》つた古幣《ふるぬさ》の斜《なゝ》めに立《た》つたのに対《たい》して、敢《あへ》て憚《はゞか》るべき色《いろ》は無《な》かつた。
折《をり》から来合《きあ》はせた権七《ごんしち》に見《み》せると、色《いろ》を変《か》へ、口《くち》を尖《とが》らせ、目《め》を光《ひか》らせて視《なが》めたが、其《そ》の面《つら》は烏《からす》にも成《な》らず、……脚《あし》は朽木《くちき》にも成《な》らず、袖《そで》は羽《はね》にも成《な》らぬ。
其処《そこ》で、自分《じぶん》で引背負《ひつしよ》ふなり、抱《だ》くなりして、其《そ》の彫像《てうざう》を城趾《しろあと》の天守《てんしゆ》に運《はこ》ぶ。……途中《とちゆう》の塵《ちり》を避《さ》けるため蔽《おほひ》がはりに、お浦《うら》の着換《きがえ》を、と思《おも》つて、権七《ごんしち》を温泉宿《をんせんやど》まで取《と》りに遣《や》つた。
あとで、此《こ》の祠《ほこら
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