《これ》を救《すく》ふものも又《また》吾輩《わがはい》でなければ不可《いけな》い。然《しか》も彼《かれ》を連《つ》れ返《かへ》る道《みち》は、丁《ちやん》と最《も》う着《つ》いて居《ゐ》るんだ。唯《たゞ》少時《しばらく》の辛抱《しんばう》です。いや/\、決《けつ》して貴下方《あなたがた》が御辛抱《ごしんばう》なさるには及《およ》ばん。辛抱《しんばう》をするのはお浦《うら》だ、可哀想《かあいさう》な婦《をんな》だ。我慢《がまん》をしてくれ、お浦《うら》、腕《うで》は確《たしか》だ。』
と、掌《てのひら》を開《ひら》いて、ぱつ、と出《だ》す。と一同《いちどう》はどさ/\と又《また》退《すさ》つた。吃驚《びつくり》して泥田《どろた》へ片脚《かたあし》落《おと》したのもある、……ばちやりと音《おと》して。……
『気《き》が違《ちが》つた。』
『変《へん》だ。』
『真物《ほんもの》だ。』……と囁《さゝや》き合《あ》ふ。
祠《ほこら》
二十八
狂気《きやうき》した、変《へん》だ、と云《い》ふのは言葉《ことば》の切目毎《きれめごと》に耳《みゝ》に入《はい》
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