《はうがく》の知《し》れない山《やま》の中《なか》で、掻消《かきけ》すやうに隠《かく》れたものが無事《ぶじ》で居《ゐ》やう筈《はづ》はないではないか。
 決《けつ》して安泰《あんたい》ではない。正《まさ》に其《そ》の爪《つめ》を剥《は》ぎ、血《ち》を絞《しぼ》り、肉《にく》を※[#「てへん+毟」、第3水準2−78−12]《むし》り骨《ほね》を削《けづ》るやうな大苦艱《だいくかん》を受《う》けて居《ゐ》る、倒《さかさま》に釣《つ》られて居《ゐ》る。…………………』
と戦《おのゝ》いたが、すぐ肩《かた》を聳《そびや》かした。
『何処《どこ》に居《ゐ》る? 何《なに》、お浦《うら》の所在《ありか》は何処《どこ》だ、と言《い》ふのか。いや、君方《きみがた》に、其《それ》は話《はな》しても分《わか》るまい。水《みづ》の底《そこ》のやうな、樹《き》の梢《こずゑ》のやうな、雲《くも》の中《なか》のやうな、……それぢや分《わか》らん、分《わか》らない、と言《い》ふのかね、勿論《もちろん》分《わか》りませんとも!
 吾輩《わがはい》には丁《ちやん》と分《わか》つて居《ゐ》る。位置《ゐち》も方角《はうがく
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