《あじろ》に突立《つゝた》つて見送《みおく》つた坊主《ばうず》の影《かげ》は、背後《うしろ》から蔽覆《おつかぶ》さる如《ごと》く、大《おほひ》なる形《かたち》に成《な》つて見《み》えた。
二十七
温泉《いでゆ》の宿《やど》を差《さ》して、城《じやう》ヶ|沼《ぬま》から引返《ひきかへ》す途中《とちゆう》は、気《き》も漫《そゞろ》に、直《す》ぐにも初《はじ》むべき――否《いな》、手《て》は既《すで》に何等《なにら》か其《それ》に向《むか》つて働《はたら》く……新《あらた》な事業《じげふ》に対《たい》する感興《かんきよう》の雲《くも》に乗《の》るやう、腕《かひな》が翼《はね》に成《な》つて、星《ほし》の下《した》を飛《と》ぶが如《ごと》き心地《こゝち》した。
恁《か》うまで情《じやう》の昂《たか》ぶつた処《ところ》へ、はたと宿《やど》から捜《さが》しに出《で》た一行《いつかう》七八人《しちはちにん》の同勢《どうぜい》に出逢《であ》つたのである……定紋《じやうもん》の着《つ》いた提灯《ちやうちん》が一群《いちぐん》の中《なか》に三《み》ツばかり、念仏講《ねんぶつかう》
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